アニメシリーズと原作小説を紐解き、巧妙に仕組まれた伏線を探る
※本記事は個人の考察によるものです。事実とは異なる場合がございます。
まず、ヴァイオレットとベネディクトそれぞれの過去について振り返ります。
ヴァイオレットの過去
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ヴァイオレットは幼い頃、地図にも載らないような小さな孤島に1人でいるところを、海で難破した海軍に発見されます。
その海軍を率いていたのが、ギルベルトの兄・ディートフリートでした。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ディートフリートによると、ヴァイオレットは木の上でどこか遠くを眺めていたといいます。
その後部下の1人が彼女に乱暴を働こうとしますが、ヴァイオレットはその兵士から武器を奪い刺し殺してしまいます。
彼女の異常な身のこなしに驚いたディートフリートたちは、すぐにその場から逃走しますが、ヴァイオレットは彼を襲うことはなく、ただ後ろを付いていくのでした。
アニメでは、孤島内ではなく船上でヴァイオレットが部下たちを殺しているシーンが描かれていますが、大まかな流れは原作と共通していると考えられます。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
そしてここでディートフリートは、ヴァイオレットが自分の命令に従うことに気づきます。
その後、彼はヴァイオレットをライデンシャフトリヒへと連れ帰り、陸軍であるギルベルトに戦争の武器として使うよう預けるのです。
また、ヴァイオレットはのちにこれ以前の記憶が一切残っていないことを明かしています。
ベネディクトの過去
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ベネディクトはホッジンズに出会う前、「ブルー」という名で傭兵として戦争に参加していました。
それ以前の記憶は殆ど残っておらず、唯一覚えているのは、自分と同じ金糸の髪と碧い眼をもち、黒のリボンで髪を一纏めにした妹がいたということです。
傭兵生活の日々の中、ベネディクトは金目当てのある女性に身ぐるみをはがされ、雪の中に捨てられてしまいます。
そこでホッジンズに拾われ、「ベネディクト」というファーストネームを与えられました。
原作ではその後、ベネディクトが過去の記憶を一部思い出すシーンが描かれています。
その内容を要約すると以下のようになります。
・ある組織の元で、妹とともに薬漬けにされながら戦闘兵になるための訓練を受けていた。
・薬による副作用で健忘が激しくなっていた。
・自分を犠牲にしてでも、愛する妹だけは守りたいと思っていた。
・脱走を決意し、妹の手を引いて夜の海から舟に乗った。
・記憶の最後が、海の中から舟の底を見上げているところで終わっている。
2人の過去についての説明は以上になります。
より詳しく知りたい方は原作小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」に収録されている「ベネディクト・ブルー」というエピソードをご覧ください。
2人が兄妹であることをほのめかす5つの演出
アニメ版だけでは、ベネディクトとヴァイオレットが兄妹であることを知ることは出来ません。
しかし原作を読んだ上で改めてアニメを見返すと、幾つか点と点が繋がる箇所が出てきます。
ここからはあくまで私個人の考察ですので、その点を踏まえた上でお読みください。
伏線①外見の特徴
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ベネディクトの記憶にある妹の特徴を整理します。
・碧眼の瞳
・ベルベット生地の黒いリボンで髪をひとまとめにしていた
髪色と眼の色は言うまでもなくヴァイオレットと共通している点ですが、黒のリボンについてはどうでしょうか。
ここでTVアニメ第1話~2話を振り返ります。
ヴァイオレットがまだ自動手記人形になる前、ベネディクトとC.H郵便社で出会ったときの彼女の外見について。
頭をよく見ると、黒いリボンで髪をひとまとめにしていることがお分かりいただけるかと思います。
外見の特徴は完全に一致していますが、TVアニメ第5話のラストで描かれる船上の回想シーンでは、ヴァイオレットはリボンを付けていないことが分かります。
ヴァイオレットが1話~2話で付けていた黒いリボンは、ギルベルトに引き取られたときに貰ったものだと思われます。
それについてはTVアニメ8話をご覧ください。
ヴァイオレットがベネディクトの妹だとすると、元々黒いリボンを付けていたが、孤島で暮らしている間、もしくは孤島に流れ着くまでに失ったと考えられます。
いずれにせよ、ベネディクトと再会する時点で外見の特徴が一致していたのは、制作者の意図的な演出であると考えていいのではないでしょうか。
伏線②ガルダリク軍残党との戦い
TVアニメ12話と13話で、原作とは異なるアニメオリジナルの展開が描かれました。
ストーリーを簡単に振り返ると次の通りです。
和平調印式に向かうため、カトレアとベネディクトはディートフリートが指揮する海軍の船に乗り、大陸横断鉄道の発車場へ向かう。
鉄道内部にはガルダリク軍の残党が潜伏しており、別任務から帰還したヴァイオレットが上空から危険を察知し合流する。
列車が鉄道橋にさしかかろうとする頃、ガルダリク軍との戦闘が発生したが、無事鎮圧し事なきをえた。
この12話~13話の中で私が気になったポイントを挙げていきます。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
12話でベネディクトとカトレアが船の上で会話をしているシーン。
ベネディクトが「それが済めば、やっと戦争の終わりだ」と口にしますが、このとき彼は海の方を向き、何かに想いを馳せるような様子を見せました。
そのあと7秒ほどの不自然な静寂が描かれています。
アニメ版ではベネディクトの過去について触れる描写はそれまでありませんでしたが、何故ここでこのような演出が必要だったのか。
これはこの後に描かれる物語への導入的な演出のようにも見て取れます。
その後ヴァイオレットが上空から合流し、大陸横断鉄道の乗っ取り事件が幕を開けます。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
TVアニメ13話、ヴァイオレットは敵の親玉が鉄道橋に仕掛けた爆破装置を破壊するため、列車から飛び出しました。
1人で対処するヴァイオレットでしたが、ここでベネディクトが車内から現れ助けに入ります。
突如これまで見せてこなかった驚異的な身体能力を発揮し、爆破装置の1つを見事に川へと蹴り落とすベネディクト。
彼の傭兵としての過去を知らない方にとっては、突然の身のこなしに驚いた視聴者も多かったのではないでしょうか。
そしてヴァイオレットも渾身の力で最後の一つを引き剝がしますが、体勢を崩し装置とともに川へと落下していきます。
ここで原作の内容について触れます。
ベネディクトが妹と生き別れたのは、海の上でした。
次の一文は、原作小説からの引用です。
「絶対にこの手を離すな」
「二人は舟に乗り、海へと漕ぎ出す。最後はいつも、自分が水の底から船を見上げている視点で終わる。そして思うのだ。嗚呼、失敗したと。」
引用元:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」
あの時手を放してしまったばかりに、二人は離れ離れになってしまった。
薬漬けの傭兵生活から逃げ、平和な未来を掴むために海へと漕ぎ出たはずが、それを手にすることは叶わなかった。
いつも自分の背中に隠れているような泣き虫な妹が、1人残された舟で助かるわけがない。
「自分が妹を殺したようなもんだ」と、ベネディクトは常に悔やんでいました。
TVアニメ13話のシーンに話を戻します。
無事爆破装置を引き剝がした2人。
ベネディクトは咄嗟に手を伸ばし、水面へ落ちてゆくヴァイオレットの手を掴みました。
それにより2人は窮地を脱します。
その後無事に和平調印式を終え、ヴァイオレットとベネディクトが2人並んでいるカットが描かれていました。
DVD・Blu-rayのブックレットでは、原作者である暁佳奈さんが「2人が並ぶとまるで兄妹のようだと思われませんか?」とコメントしています。
補足として、原作では「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 下巻」にて大陸横断鉄道の乗っ取り事件が描かれていますが、
鉄道橋での戦いという展開はなく、陸上のとある村での戦闘という形になっており、ベネディクトがヴァイオレットと爆破装置を解除するシーンは存在しません。
ベネディクトが川に落下するヴァイオレットの手を掴むという演出も、アニメオリジナルの展開です。
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伏線③劇場版の伏線回収
改めて物語のはじまりを振り返ります。
孤島で拾われたヴァイオレット。
彼女はディートフリートからギルベルトへ、その後ギルベルトからホッジンズへと託されます。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ギルベルトは近くに咲いていた菫の花から、彼女に「ヴァイオレット」というファーストネームを与えました。
また冒頭でも述べましたが、ベネディクトを拾い彼にその名前を付けたのはホッジンズです。
アニメシリーズ第1話では、二人の親代わりでもあるホッジンズが、C.H郵便社でヴァイオレットとベネディクトを引き合わせました。
そして劇場版の内容について触れていきます。
行方不明だったギルベルトとホッジンズを再び結び付けるきっかけを起こしたのは、宛先不明の郵便物を送り返す仕事を手伝わせるため、彼を倉庫へ誘ったベネディクトでした。
「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
その後、ヴァイオレットはギルベルトと再会するために、ホッジンズが付添人になりエカルテ島へ向かいます。
これは捉え方を変えると、親代わりの二人(ギルベルトとホッジンズ)に助けられたヴァイオレットとベネディクトが、今度はその二人を巡り合わせたとも考えることができます。
そして劇場版のクライマックス、ヴァイオレットにはもう二度と会わないと誓ったギルベルトの背中を押したのが、ディートフリートでした。
ギルベルトは船で離れていくヴァイオレットを追い名を叫びます。
それに気づいたヴァイオレットがとった行動は、「船から海へ飛び込む」というものでした。
そして2人は無事、「孤島」の「夜の海」で再会を果たしました。
「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
この巡り合わせを引き起こしたきっかけは、おそらく2つあります。
1つは先程のベネディクトがホッジンズを倉庫に誘ったこと。
もう1つが、「ヴァイオレットが落としたリボン」をディートフリートが拾ったことです。
無くしたリボンにヴァイオレットが気付くという演出は、伏線①で述べた内容にも絡んでくるようにも思えます。
そしてこの瞬間、止まっていた歯車が回り始めたのではないでしょうか。
偶然というには余りにも出来すぎていますし、そもそも劇場版の内容は原作小説にはない、オリジナルの展開です。
原作ではギルベルトは大陸戦争後、陸軍の大佐としてライデンシャフトリヒで働いており、TVアニメでいう12~13話の大陸横断鉄道の事件でヴァイオレットと再会を果たしています。
アニメオリジナルとして描かれた、孤島で暮らすギルベルトにヴァイオレットが船で会いに行くというストーリー。
全ては「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という物語のはじまりと終わりを繋げるための伏線回収だったのではないでしょうか。
伏線④ヴァイオレットの忠誠心
ギルベルトとヴァイオレットの再会について触れましたが、なぜこれがベネディクトとヴァイオレットの兄妹の物語になるのか。
最大の謎である「ヴァイオレットがギルベルトやディートフリートにだけ従った理由」について考察していきます。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
物語のはじまりへと話を戻します。
ヴァイオレットは孤島に一人でいるところを、ギルベルトの兄で海軍を率いるディートフリートによって見つけられました。
彼の部下がヴァイオレットを犯そうとしたところ、彼女は木の枝でその部下を刺殺しました。
その身のこなしに驚いたディートフリートと部下たちは、すぐさまその場から逃走します。
原作には、ディートフリートの視点で次のように記されています。
「これは逃げても逃げても追ってきた。・・・けして近づきすぎず。かと言って姿が見えなくなるほど遠ざからない」
引用元:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻」
ヴァイオレットは追いかけてくるだけで、彼を殺そうとはしませんでした。
恐ろしくなったディートフリートが部下に対し「みんな(ヴァイオレットを)殺せ!」と命令したその瞬間、彼女は部下を皆殺しにします。
彼が口にした言葉を自分への命令として聞いたと判断できますが、何故ヴァイオレットはディートフリートに忠実に従ったのでしょうか。
少し話は戻りますが、ディートフリートが孤島に一人でいるヴァイオレットに気づいた時、彼女は木の上からどこか遠くを眺めていました。
ここで原作小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」の内容に触れます。
以下、「ベネディクト・ブルー」からの引用です。
お前、誰だっけと問うと、あいつは泣きそうな顔で「忘れないで」と言った。
後で妹だと言われたので、そうなんだと思った。俺が兄貴なのは確かなのか、と聞いたがそれは確かだと返された。
お前だって忘れているんだろう。どうしてわかるんだと。
そう、どうしてわかるんだと尋ねたら。愛しているきもちが残っているから家族なんだとあいつは更に泣いた。
引用元:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」
ベネディクトの妹は、彼と同じく薬による副作用で健忘が激しくなっていました。
彼女がヴァイオレットだとしたら、全て忘れてしまったけれど、愛しているきもちが残っていたから、木の上からどこか遠くの誰かを探していた。
地図にも乗らないような小さな孤島と原作には書かれているので、木の上から見るようなどこか遠くとなれば、海しか思いつきません。
そしてそこに、ベネディクトの碧い瞳とよく似た、翠の瞳をしたディートフリートが現れた。
ちなみに、碧色と翠色は色相の位置づけ的に極めて近い色であり、碧色は緑の成分を多く含む青色で、翠色は青の成分を多く含む緑色です。
ディートフリートと出会った際の彼女が、言語も忘れるほど記憶を失くしていた赤子同然の状態だったと考えると、「自分でも分からない大切な何かと錯覚した」とは考えられないでしょうか。
卵から孵ったばかりの雛が、初めて視界に入った対象を親だと思い込むように。
少し無理矢理な考察とも見て取れますが、このように考えたことには理由があります。
既に何度か取り上げていますが、原作小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」の一篇「ベネディクト・ブルー」に気になるエピソードがありました。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ベネディクトは妹の顔も名前も思い出せずにいますが、会えば「絶対」に分かると言っていました。
何故なら妹を愛しているという気持ちがあるから、と。
そんな中ベネディクトは任務でヴァイオレットと共にある村へ訪れます。
そこで彼は一人の女性と出会い、どこかで見た覚えのある風貌や髪色の特徴などから、間違いなく自分の妹だと思いこみます。
最終的に、この女性はベネディクトと面識はあったものの、妹ではありませんでした。
この「ベネディクト・ブルー」という一篇は彼の妹について深く振れる内容になっていますが、なぜここでこのような演出が必要だったのでしょうか。
ヴァイオレットが妹である可能性を示唆しておきながら、全く異なる別の妹もどきを登場させ、読者を混乱させることが著者の目的だったのか。
真相はわかりませんが、私は「記憶に絶対性がない」ことを提示するためだったと考えています。
つまり、ベネディクトは会えば絶対に妹だと分かると言っていましたが、結局勘違いをしたということです。
そもそも会えば絶対に分かるなら、ヴァイオレットと再会している時点で妹だと気付いているはずです。
しかし彼はそれまでヴァイオレットを妹だと認識していませんでした。
ベネディクトの「絶対」が本当だったなら、ヴァイオレットが妹である可能性は低かったでしょう。
しかし、妹もどきの登場でその「絶対」が「勘違い」という形で崩れたことになり、ヴァイオレットが妹である可能性が復活したのです。
著者がこれを意図的に書いたかどうかは不明ですが、私はこの一連の展開が先程の話に関係していると考えます。
話を戻すと、ヴァイオレットも記憶の中の大切な誰かと、ディートフリートを勘違いをしたのではないかということです。
孤島で出会った当初から、彼に対して従順な態度を示し後ろを付いてきた。
アニメシリーズでもヴァイオレットがギルベルトの目をよく見ているシーンや、ブローチに強い執着を抱いている描写が多く描かれていますが、この色がヴァイオレットに何かしらの影響を与えていると考えて間違いないのではないでしょうか。
長くなりましたが、これが事実だとすると「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品は、ヴァイオレットが大切な人と再会する話を描いた物語であると言えます。
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
これは劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のサウンドトラック「Echo Through Eternity」のジャケットイラストです。
エカルテ島の夜の海辺に座り込むヴァイオレットとギルベルト。
海の向こうを見ているギルベルトと、隣で彼を見つめるヴァイオレットの姿は、まるで孤島で再会を果たした兄妹のようにも見えませんか?
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伏線⑤共通するデザイン
最後にもう1つだけ述べておきたいのが、アニメシリーズで描かれたヴァイオレットとベネディクトの共通のデザインです。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-」のベネディクトの衣装に注目してください。
物語が後半のテイラー編に入ってすぐ、ベネディクトの足元がアップで映るカットが描かれています。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
このブーツに施されているフリルのデザインを覚えておいてください。
次に「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の後半、エカルテ島を嵐が襲っているシーンを見てみましょう。
「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
ヴァイオレットの背中に施されたフリルのデザインが、ベネディクトのフリルの色違いのようにも見えないでしょうか。
フリルを施した衣装は西洋ではよく見られますが、アニメシリーズの中で同じデザインのフリルが施されているキャラクターは今のところ発見できていません。
そしてこれは少し考えすぎかもしれませんが、ヴァイオレットが少女兵時代に目を奪われたエメラルドのブローチ。
その宝石の土台になっているふちのデザインが、どことなくフリルの形に似ているようにも思えます。
TVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」場面イラスト
(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
質屋に並んだ他のブローチ以外にも、カトレア・ボードレールやイザベラ・ヨークがブローチを身に付けていますが、このような特徴的なデザインをしたブローチも他に見当たりませんでした。
このベネディクトとヴァイオレットに共通したデザインが意図的だったとすれば、全ては最初から仕組まれた伏線だったと考えられます
。
ヴァイオレットがギルベルトに対して抱いていた感情は、本物であったことは間違いないでしょう。
しかしもしかすると、彼女がブローチに強く惹かれた本当の理由は、ヴァイオレットの中に微かに残っていた大切な誰かを「愛してる」という気持ちがあったからなのかもしれません。
最後に
劇場版の入場者特典として配布された短編小説「ベネディクトの菫」に、次のような一節があります。
「俺は、何だか守っていた雛鳥が無事だったことを確認したかのようにほっとした。」
引用元:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン ベネディクトの菫」
ベネディクトはヴァイオレットの手を握り、彼女もまた、彼の手を握り返します。
鏡に映る金髪碧眼の二人は、まるで兄妹のようでした。
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